原因1:ハモりのラインばかりを意識してしまう
ハモりがズレてしまう例
カーナビだけを見て運転する人はいない!
そのライン本当に覚えてますか?
その覚えたラインは本当に覚えてますか?
上記の運転とナビの例では、実際に通行する前にナビを見ただけで絶対に道を間違わないように完璧に覚えたと言い切れますか?実際に通ってみて、道幅や想定外のことはないか、通行して体験して、次はナビがなくても大丈夫という程度であれば、はじめて道を覚えた!と言えますね。
料理のレシピやを見ただけで、その料理を体得したといえますか?
Howto本を読んだだけで体得したといえますか?
ハモりも同じで、ラインを知識として覚えただけでは不十分で、以下に掲げる要素をちゃんと出来てはじめて覚えたと言えると思っています。
ラインを覚えたと言えるための要素
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ハモりラインを知識として認識して、それ単独だったらなんとなく歌える
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ハモりのすべての音程をピッチ感を正しく捉えて歌える
※ココ結構重要で、特に経過音などをごまかして覚えているケースが多いですが、ちゃんとピッチを正しく覚えましょう。
※ピッチを正しく歌うということについては、別の機会に詳しく説明したいと思います。
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主旋律(や伴奏)と一緒に歌って、響いている感覚(協和している状態)を感じることができる
※短くて早い経過音などは、単独では歌えても主旋律と一緒に歌うと難しいことも多いです。こういう時は道標となる音、主旋律とちゃんと協和を確認できる音を決めておきましょう。
ハモりパートを覚えるということは、僕の感覚では、ハモりのメロディを覚えることが25%で、単独で歌ってピッチ感を正しく捉えることが25%、主旋律や伴奏との協和具合を体感として覚えることが50%で、これらがすべて出来て、はじめてハモりラインを覚えたと言えると思っています。ここでの比率から、協和具合を感じるということを如何に重視しているかを知ってもらえれば嬉しいです。
例えば、Youtubeでハモりを聞いた直後に口ずさめば、自然と歌うことができる場合が多いかと思います。(ピッチ感をごまかして歌えたつもりになっているケースが多い気がしますが)しかし、「主旋律や伴奏との協和具合を体感する」というところが出来なくて、ここでつまずくケースが多く、いつの間にか不協和音になってしまうのです。
ちなみに、協和を感じるということが、どういうことかというと、こちらの記事でハモるときに意識すべきこと、としてまとめているので参考にしてください。
原因2:主旋律や伴奏との響きを感じられない
主旋律や伴奏との協和を感じるためには、何を注意しないといけないのでしょうか?何が原因でこれを感じることができないのでしょうか?
対策1:ピッチを正しく歌い誤魔化さない
上記にも書いたように、ハモりでもピッチをあいまいにしないということが非常に大事です。単独でハモりラインを歌ってみて、経過音も含めてピッチ感を正しく感じられますか?これが出来ていないと、主旋律が混ざってきたときに、もう迷子一直線ですw
Youtubeで覚えたつもりになっているハモりラインは、本当にすべての音に対してピッチ感を正しく歌えていますか?
ハモりを歌うときに、エコー、エフェクトを強めにして誤魔化していませんか?たしかに、直前の音なども残響として響くようになるので、音程感が曖昧でも歌えているような気になってくるんです。でも、きっと次の音で破綻して、気持ち悪く残響だけがすごい状態になってしまうでしょう。
対策2:練習中、ピッチが不安定なときは正々堂々と思いっきり間違えた音を出すこと
ハモりのピッチが間違っているようだけど、なんとか合っている雰囲気でごまかそうとして、中途半端な声になっていませんか?間違えるときは、間違えた音程のままで良いので、正々堂々とその音を発声しましょう。何事もPDCA(実行したことを振り返って軌道修正していくプロセスのこと)です。失敗を失敗と認識できなければ、次にどう修正すべきかも判断がつきません。外している音程は、しっかりと発声してピッチ感(外したピッチなので気持ち悪いですが)を確認できれば、次にちょっと高くしてみようとか、低くしてみよう、ということができるのです。
対策3:道標となる音を決める
さて、ピッチ感をごまかさずに歌えているという場合、最後に主旋律(と伴奏)と一緒に歌ってみて、キレイに響く感じ(=協和感)を体感できますでしょうか?
どうしても曖昧になる部分があれば、協和感を正しく感じる道標となる音を決めましょう。長めでコードに乗っている音が良いです。上述した記事「ハモるときに意識すべきこと」に詳しく書いています。
対策4:当たるまで繰り返して微修正していく
ここまでちゃんとハモりを歌うようにすれば、ある程度、道標となる音では響きを感じて歌えるようになると思います。
部分的に響きを感じられない場所があれば、その部分だけちょっとだけ高くしたり、ちょっとだけ低くしたり、何回も歌ってみて響きを感じられるようになるまで繰り返して覚えます。この響きを感じる音程にいきつくことを「当たる」と言っています。僕も結構迷子になることがあって、繰り返し歌ってみて、少しずつ修正して、「あ!この感じか!?当たったかな?」となる場合が多いです。
コード進行や主旋律によって、感覚がつられてしまい、例えば、次の音は全音(長2度)上の音なのに、つられて長3度に近い音になって迷子になってしまうケースなどが往々にしてあるのです。(高すぎるだけじゃなく、低すぎる場合ももちろんあります)
繰り返しになりますが、最初にお見せしたこの図もまさにそのように迷子になる例ですね。
部分的に当たっていない音があってそれに気づいた場合は、以下のようなやり方で補正していきます。
微修正の仕方
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まず、中途半端な音を正々堂々と外して、どのあたりの音程かをちゃんと認識する。ふわっと歌い、どの音か分からないように誤魔化さない。エコー強くして誤魔化すケースも然り。
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少しずつ上や下にしてみて、当たる感覚になるまで繰り返す。ただし、少し上にしてみようと思っても、それまでにズレた感覚が身についてしまっていて、何回歌ってもそのズレた音から抜け出せない場合もあります。そういう時は僕は次のようにしています。
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単独で歌ってみて再確認する。
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主旋律(や伴奏)の音量を下げて、ハモりラインを歌ってみる。こうすることで、主旋律(や伴奏)のコード感などに引きずられないで歌うことができるようになります。そして、曖昧だった音を歌う瞬間に、ボリュームを下げている主旋律(や伴奏)に意識を傾けて、協和感を確認するんです。これが小さい音でも確認できれば、少しずつ音量を上げていき、ものにしていきます。
原因3:そもそもハモりのラインが難しい
上に記載したように頑張ってみても、中々上手くいかない場合があるかもしれません。そもそもハモりのラインが難しいということもあります。
ケース1:不協和音で形成されている場合
Googleでハモり動画で調べていたら、「チェリー/スピッツ」の3度ハモりの動画が出てきました。すごく上手なんですが、初心者が歌うには凄く難しいハモりラインでした。上3度と下3度のハモりになっているんですが、上も下も最初から最後まで3度をキープしているんです。
別の機会に説明しますが、ずっと3度をキープするハモりは、ほとんど存在しないと思って良いです。主旋律との関係で協和音を維持するには3度と4度をいききする必要があって、3度をキープするということは、実際はテンションノートと呼ばれる不協和音になってしまうのです。
ただし、この不協和音であるテンションノートをピッチを正しくうまく響かせることができれば、すごく綺麗でお洒落な響きは得られるのですが、そもそも伴奏に対して不協和音になるので、難易度が超高いのです。
ケース2:音が飛んでいて、うまく飛べない場合
ハモりの次の音がいきなり、5度とか6度とか高い音に飛んでいたり、逆に低い音に飛ぶようなケースも難易度が高いです。主旋律自体が音が(何度も)飛んでいて、それに合わせてハモりも飛ぶようなケースとかですね。また、ハモりのラインが主旋律の音を飛び越えたりするケースも難しいと思います。
普通に歌っていても遠い音程に飛ぶときは当てるのが難しいと思いますが、ハモりの場合は歌を当てる難しさに加えて、音感としてどのあたりかを感じ取ることの難しさもあってすごく難しいのです。
ボールを投げることに似ています。すぐそばの物にボールを当ててください、簡単ですね。それが10m先のものを狙って当ててください、と言ったら難易度がすごく高くなりますね。ハモり(や歌)もそれと同じで、遠くの音程を狙うのは非常に難しいことです。
難しいハモりの例
少しまえに僕がハモりをいれた「冬がはじまるよ/槇原敬之」ですが、これも非常にハモりが難しいラインでした。上記にあげた不協和音もあったし、音が飛ぶラインでもありました。
興味ある方は、僕のnanaのページから探してみてください。
サビのハモりライン1小節目「ふゆがは」のところですが、まず、主旋律の最初の音が「ド 」なんですが、ハモりは「ラ」から「ド」を飛び越えて「ミ」に5度も飛んでいます。単に「ラ」から上というイメージだけでは、「ド 」も「ミ」も「ソ」も上なので着地感(音程感)が分かりづらく、目的の音を見失いがちになってしまいます。最初ここの音をとるのに苦労しました。
いったんこの音をつかめてしまえば、主旋律とハモりで「ラドミソ」のAm7の構成音を形成できるので、非常に和音感があって綺麗はハモりになります。
2小節目後半から3小節目にかけては、不協和音のオンパレードです。不協和音というのは伴奏(コード進行)に対しての不協和音です。FM7に対して「レ」の音、Eに対して「ド 」から始まる旋律ですね。この音は実はテンションノートになっていて、うまく音が出せればお洒落に響く音ではあるのですが、如何せん伴奏との不協和音感があるので、歌うとなると難しいのです。(協和音となる伴奏のコードに乗る音にいきたくなってしまうのです)
主旋律と3度下の関係をキープしているので、主旋律とは3度の協和音になっていて、これを便りに歌い切る感じですね。
いずれにせよ、この3度下ハモは、難しい要素がいろいろあって、本当に難しいハモりでした。
対策:あきらめも肝心!
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